投資においては分散投資が必須であり、
一つの籠に卵をいれていたら危険なので、複数の籠に卵を入れましょう。
というのは投資の鉄則で、よく資産運用セミナーでも基本として出てくる教えだと思います。
では結局、どのように分散するのが良いのか?
分散する上で気を付けなければいけない点は何なのか?
という点については、詳しく触れられていないと思いますので、
本日は長期的に資産運用で大きな利益を『安定的』に出す為の考え方と、
参考になるポートフォリオを紹介していきたいと思います。
同様の動きをする資産に大きな割合をしても意味がない
分散投資を行うといっても闇雲に行っても意味はありません。
先程の籠と卵の例を用いるなら、同じ衝撃でおちる籠に卵を分散しても意味がないということです。
一つの籠に入れて落とす場合と、二つの籠に入れて両方落ちる場合では何ら変わりありませんからね。
実際の例でいうと、例えば現在の日経平均は前日夜の米国株市場に大きく引きずられる傾向が強く、
例えば米ダウ平均が大幅安で引けたら、日経平均も大幅安でオープンし、
反対に米ダウ平均が大幅高で引けたら、日経平均も大幅高でオープンする、
という傾向を持っています。
更に日経平均とドル円の傾向も非常に連環性が高く、
ドル円が上昇(=円安に振れる)すれば日経平均は上昇し、
ドル円が下落(=円高に振れる)すれば日経平均も連れ安するという傾向を持っています。
つまり米株式市場とドル円も相関があるということが出来ますね。
円は特にリスク回避通貨なので世界の株式市場が上昇すれば円安に、
世界の株式市場が下落すればリスク回避の動きで円高にふれるという特徴を有しています。
以下は三菱UFJ国際投信が発表している各資産の値動きの相関係数です。
相関係数が1に近いほど正の相関、つまりAに対するBの相関係数が0.8だったら、
Aが100上昇したらBが80上昇、Aが100下落したらBが80下落という動きをします。
次に相関係数が-1に近いほど負の相関、つまりAに対するBの相関係数が-0.8だったら、
Aが100上昇したらBが80下落、Aが100下落したらBが80上昇という動きをします。
正にせよ負にせよ絶対値が小さいほど値動きの連環性つまり相関が低いということを表しています。
正の相関が高ければ先ほどの同じ衝撃で卵がおちる籠なので分散投資の意味がなく、
負の相関が高ければ、ある資産のプラスを、別の資産のマイナスで打ち消すので投資する意味が希薄化します。
相関性が低い資産に分散投資を行うことこそが、資産分散の極意なのです。
長期分散投資のスペシャリストに学ぶオルタナティブ投資の必要性
相関性が低い資産を組み合わせることがポートフォリオ作成の極意であることは分かったけど、
実際どのようい組めばいいのか分からない。
という方に向けて長期的に市場平均よっりも高い成績を残している、
大学の基金や米国で最も有名なカリフォルニア州職員退職年金基金(CalPERS)のポートフォリオ、
を見て何が必要なのかを分析していきたいと思います。
ハーバード大学年金基金
まずは日本人が最も聞きなじんでいる米国のトップ大学であるハーバード大学の、
基金について見ていきましょう。
米国では卒業生からの寄付金を大学が運用して増やし、大学の運営費用にあてるという文化があり、
ハーバード大学基金は約4兆円の資産を運用しています。
ハーバード大学基金は20年間の長期平均が年率10.4%とS&Pの7.7%を長期的にオーバーパフォームしています。
そんなハーバード大学のポートフォリオをご覧ください。
当然米国の株式と債券が多くを占めているのだろうと思いきや、米国株はわずか10.5%、米国債は9.0%に留まっております。
その代わりに多くをしめているのがPEファンド、ヘッジファンド、商品(Commodity)、不動産、
といったオルタナティブ投資といわれる投資先です。
この4つで実に58.5%という過半数をしめています。
オルタナティブ投資なんて初めて聞いたという方も多いと思いますが、
上場株式投資や債券投資といった従来からの伝統的な投資と対比された概念で、
伝統的投資先と異なる値動きをすることにより、ポートフォリオの安定性が高まるとして、
近年非常に注目が集まっている投資先です。
オルタナティブ投資の中でも分かりにくい、PEファンドは未公開株を買収して、
経営に入り込んで企業価値を主体的に向上させたうえで、
売却する手法で米国の有名なところでいうとKKRやブラックストーンが勇名ですが、
いわゆるベンチャーキャピタル型ではなく、既に安定的な利益をだしているものの、
改善の余地がある企業へ投資を行うバイアウト型投資が大半を占めています。
☞ PEファンドとは?仕組み・運用成績・種類・メリットやデメリット等から個人でも投資できるおすすめの投資先を紹介。
☞ PEファンド(プライベート・エクイティ・ファンド)のビジネスモデルを解説する
☞ ファンドの種類毎のおすすめランキングを紹介!!~ヘッジファンド?PEファンド?投資信託?~
ハーバード大学基金のオルタナティブ投資の割合のみが非常に多いのではないの?
と疑問を抱かれる方もいらっしゃると思いますが、
以下のように主要大学のポートフォリオは基本的に約70%とハーバード大学より、
多い比率でオルタナティブ投資を組み入れています。

参照:幻冬社
イェール大学年金基金
ハーバード大学基金より更に高い運用利回りを出している大学基金にイェール大学があります。
20年平均12.1%という数値は非常にすごいものがありいますね、
20年間年率12.1%で運用することができれば、1000万円を9800万円まで爆発的に増加させることが出来ます。
そんな優秀な成績を残しているイェール大学のポートフォリオは以下のように、
オルタナティブ投資だけで全体の75.1%を占める構成となっています。
市場平均より高い成績を収める為の必須条件が見えてきましたね。
それでは毛色を少し変えて、カリフォルニア州職員年金基金CalPERSのポートフォリオを確認していきましょう。
CalPERS
CalPERSは323Billion USDつまり35兆円という超巨額の資産を運用しています。
世界最大のヘッジファンドであるブリッジウォーターアソシエイツの二倍ということになります。
因みに日本のクジラGPIFは132兆円と世界ぶっちぎりのTopですが運用成績が低いので参考にはしません。
CalPERSのポートフォリオは大学の基金に対してオルタナティブ投資の割合を小さく抑えています。
全部合計しても19.2%しか保有しておらず、上場株式の割合を半分近くと高位に保っています。
結果的に以下のようにリーマンショックのような市場が沈みこみ局面では、
大きなマイナスを被っております。
直近の成績を、先程のイェール大学と比較しても、オルタナティブ投資を多く取り入れた
イェール大学の方が高い成績を残しております。
特に市場が凹んだ2015年の成績の差が顕著ですね。
市場平均と連動しやすいCalPERSと連動しにくい資産を取り入れているイェール大の差が出ております。
資産分散を行う投資ポートフォリオを組む際の注意点と運用資産別おすすめポートフォリオ
資産分散を行いながらポートフォリオを組むのであれば互いに異なる値動きを行う、
つまり相関係数が低い資産を組み合わせることが重要となってきます。
現在長期的に市場平均を上回る成績をだしているハーバード大学やイェール大学などの、
大学基金においてはオルタナティブ投資の割合を70%程度に高めており、
資産の安定性を高めると同時に高い成績を目指す為にはオルタナティブ投資が必須となってきています。
各資産毎に今回紹介した大学基金のポートフォリオを個人投資家でも組成する方法について、
纏めておりますので参考にしてみて下さい!
☞ 2000万円をハーバード流に資産運用ポートフォリオを組み安定的に10%の利回りを目指す
☞ 【3000万円資産運用】イェール大学基金流ポートフォリオを構築し年率10%以上を安全に狙う
☞ 【1億円資産運用】ハーバード大学基金に類似したポートフォリオを組み安全に年率10%を狙う